沈黙(しじま)


寂しさが罅割れる
(つぶ)らな夏の日

(こご)(あか)るい真昼の隣で
花木槿(はなむくげ)は息を止める

青いセロハンはペッたりと
僕の睛に張り付いて

ふと
死を模倣してみる

温く湿った神の手が
世界をゆっくりと絞殺する

過去も未来もきみも僕も
ここにはいない

空ちかい白いフェンスに
風がひとつ置き去りだ




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